色の混ぜ方で表現できる様々な青

『青色』は、空や海といった自然界でもよく見られる、私たちにとって非常に身近でありながら、奥深い魅力を持つ色です。しかし、一言に「青」と言っても、その色合いや印象は非常に多様で、目的やシーンによって求められるニュアンスは大きく異なります。絵の具を使って理想の青色を作り出すためには、基本的な色彩理論だけでなく、混色の割合や色同士の相性、さらには水彩ならではの特性についても理解しておくことが重要です。

この記事では、次のような視点から『青色作り』を深掘りしていきます。

【この記事でわかること】

• 青色を作るために必要な基本の絵の具と3原色の活用法

• 群青色や藍色、水色といった代表的な青系カラーの特徴と作り方

• 赤色やマゼンタを使った混色テクニックと、割合による印象の変化

• 補色効果や明度・彩度調整のコツを活かした深みの出し方

• 水彩絵の具を活用して青を表現豊かに仕上げる方法

• 青色の多様なバリエーションと、それぞれに合う色の組み合わせ

さらに、実際の混色方法をわかりやすく表や箇条書きでまとめながら、実践的なポイントも丁寧に解説していきます。絵を描く人はもちろん、デザインやインテリアに携わる人にとっても役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

青を作るには？基本の混色方法

青色作りに必要な絵の具

青色を表現するために必要な絵の具は、使用する技法や求める青の種類によって異なりますが、基本的には以下のようなものが挙げられます。

■主な青色系の絵の具

• ウルトラマリンブルー（群青色に近い発色）

• コバルトブルー（柔らかく明るい青）

• シアン（プリンターのインクにも使われる鮮やかな青緑）

• セルリアンブルー（やや緑がかった青）

■混色用に必要なその他の絵の具

• マゼンタ（赤系統に近いが、青を引き出す混色が可能）

• イエロー（鮮やかな黄色で調整に使用）

• ブラック（青に深みを出すために使用）

• ホワイト（明度を上げるために使用）

『絵の具の選び方のポイント』

• 鮮やかな青を作りたい場合は「シアン」が基本。

• 深みや温かみを出したいなら「ウルトラマリンブルー」。

• クールで爽やかな青を求めるなら「コバルトブルー」。

このように、目的によって絵の具を使い分けることが重要です。

3原色を使った色の作り方

色を作る基本となる「3原色」とは、赤（マゼンタ）、青（シアン）、黄（イエロー）のことを指します。これらを混ぜ合わせることで、あらゆる色を表現することが可能です。青を作る場合も、この3原色を応用します。

■3原色で青を作る基本手順

1. シアンをベースに取る。

2. 必要に応じて、少量のマゼンタを加え、紫がかった深みのある青を作る。

3. 明るさを調整する際は、白を加えて調整する。

4. 落ち着いたトーンにしたい場合は、少量の黒を混ぜる。

『ポイント』

• シアン単体で鮮やかな青が作れるため、基本的に黄色は使わない。

• マゼンタを加えると「群青色」寄りに、黄色を加えると「ターコイズ」寄りに変化する。

【表】混色バリエーション

色の微調整を行いながら、目的に合った青色を作り出しましょう。

青は何色で作れる？

『青色を作るために必要な色』は、主に「シアン」がベースになりますが、実際には複数の方法で青を作り出すことができます。ここでは、そのパターンを紹介します。

■主な組み合わせ

• シアン単体：標準的な鮮やかな青

• シアン＋マゼンタ：深みのある青紫寄りの色

• シアン＋イエロー：緑がかった青

• 青系の既成絵の具＋ホワイト：水色や明るい青

『注意点』

• 単純に「赤＋黄」で青は作れません。

• 原色が汚れていると濁った青になるため、絵の具選びは慎重に。

特に水彩やアクリル絵の具では、「シアン」「ウルトラマリンブルー」「コバルトブルー」の違いを理解して使い分けることが、美しい青を作るコツとなります。

青色の種類と特性

群青色とは？

『群青色』は、深みのある青紫がかった色合いを持ち、日本では古くから愛されている伝統的な青色です。

■特徴

• 紫みを帯びた青色。

• 重厚感があり、落ち着いた印象を与える。

• 画材では「ウルトラマリン」と呼ばれる絵の具が相当する。

■群青色の用途

• 日本画や書道の彩色

• 西洋画でも空や海の深さを表現する際によく使用

• インテリアカラーとしても人気（高級感・静寂さを演出）

『ポイント』

• 群青色は、シアンとマゼンタをバランスよく混ぜることで近い色味が出せます。

• さらに深みを出したい場合は、少量の黒を加えても効果的です。

水色の特徴と作り方

『水色』は、明るく爽やかで、透明感のある青系の色を指します。優しさや清涼感を表現する場面に最適です。

■水色の特徴

• 明度が高く、透明感のある印象

• 爽やかさや軽快さを演出できる

• 子供向け、女性向けデザインによく使われる

■水色の作り方

1. シアンまたはウルトラマリンブルーをベースにする。

2. 白を加えて明度を上げる。

3. 必要に応じて、わずかに黄色を加え、柔らかいニュアンスを出す。

『注意』

• 白の量が多すぎると「水色」ではなく「ペールブルー」になってしまうので、微調整が必要。

【表】水色の調合バランス目安

藍色の魅力と使用法

『藍色』は、日本独自の文化を象徴する深く落ち着いた青色です。藍染めに代表される伝統的な色であり、現代でもファッションやインテリアに広く取り入れられています。

■藍色の特徴

• 暗く、深い青

• 和の雰囲気、落ち着き、安定感を表現

• 色褪せに強く、耐久性がある（藍染めの特徴）

■藍色の使用法

• 伝統工芸（藍染め、陶磁器）

• 現代アートやデザイン

• アパレル（藍色のジーンズ、シャツ）

『作り方』

• シアン＋ブラックをベースに、少量のマゼンタを加えると藍色に近づきます。

『ポイント』

• 黒を混ぜすぎると沈んだ黒に寄るため、注意が必要。

• 水彩なら水の量を調整して、深みを演出するのがコツです。

青色を作るための色の組み合わせ

赤色と青で作る印象

赤色と青色を組み合わせると、混色次第でさまざまな表現が可能になります。

■赤と青の組み合わせ例

• 赤を多めに：赤紫、ワインレッドのような色に

• 青を多めに：群青色、ディープブルー寄りの色に

• ほぼ同量：バイオレット（紫系統）

■印象の違い

• 赤寄り：温かみ、情熱的な印象

• 青寄り：冷静さ、落ち着き、ミステリアスな印象

『ポイント』

• 赤と青を混ぜると「青色単体」とは違うニュアンスが生まれる。

• どちらを強く出すかで、作品のムードが大きく変わる。

シアンと黒色の混合比率

『シアンと黒色』を混ぜると、深みのある落ち着いた青が作れます。

■基本的な比率

• シアン8：ブラック2（深く暗い青）

• シアン7：ブラック3（さらに沈んだ色合い）

【表】シアン×黒色 比率別発色

『ポイント』

• 黒を加えすぎると青味が損なわれてしまうので、慎重に。

黄色を使った青色の調整

黄色を加えることで、青色のニュアンスを変化させることができます。ただし注意が必要です。

■黄色を加える効果

• 少量加える：ターコイズブルー（青緑系）に寄る

• 多めに加える：緑色に変化してしまう

『黄色加減のコツ』

• 本当に微量ずつ加える。

• 1滴単位で混ぜながら色を確認する。

【黄色を加えたときの変化表】

『注意点』

• 黄色を加える場合、色が濁りやすいため、透明感を保つためにはベースの青の鮮やかさも大切です。

補色を利用した青色の表現

補色の基本とは

『補色』とは、色相環において互いに正反対の位置にある色同士を指します。
この組み合わせは互いの色を際立たせ、ビビッドなコントラストを生み出す効果があります。

【代表的な補色の組み合わせ】

• 青 ⇔ オレンジ

• 赤 ⇔ 緑

• 黄 ⇔ 紫

補色同士を組み合わせると、

• お互いの色を強調し合う

• 視覚的にインパクトのある配色ができる

• 鮮やかさを引き立てたり、深みを演出できる といった効果が期待できます。

青とオレンジ色の組み合わせ

『青』と『オレンジ』は典型的な補色関係にあります。
この二色を組み合わせることで、非常に力強いビジュアル効果が生まれます。

【青とオレンジの効果的な使い方】

• ポスターや広告で目を引きたいときに

• 映画のビジュアル（特にアクション映画）でよく使われる配色

• ファッションやインテリアでモダンな印象を出すときに有効

【青とオレンジを組み合わせた印象】

補色効果で深みを加える方法

単に補色を並べるだけでなく、次のようなテクニックを使うと、より奥行きや深みのある表現ができます。

【深みを加えるポイント】

• 補色を100%混ぜず、少しずらして使う

• 同系色でグラデーションを作った上に、補色をアクセント的に使用する

• 暗い背景に鮮やかな補色を置くと、立体感が出る

特に、青をベースにした場合、オレンジを「影」や「ハイライト」に使うことで、絵やデザインに圧倒的な存在感を与えることができます。

青の明度と彩度の調整

明度を調整する方法

明度とは『色の明るさ』の度合いを指します。
青の明度を調整することで、作品にさまざまな雰囲気を与えることができます。

【明度を上げる方法】

• 白を加える

• 水を多めに含ませて薄める（水彩の場合）

【明度を下げる方法】

• 黒を少量加える

• 補色（オレンジ）をほんのわずか混ぜる

【ポイント】

彩度を高めるコツ

彩度とは『色の鮮やかさ』を指します。
青をより鮮やかに見せたいときには、次の方法を意識しましょう。

【彩度を高める方法】

• 清潔なパレットで混色する（汚れた絵の具は彩度が下がる）

• 最小限の混色で留める（混ぜすぎると彩度が落ちる）

• 彩度の高い原色に近い青（例：ウルトラマリンブルー、コバルトブルー）を選ぶ

【注意点】

• 補色を混ぜすぎると、彩度が一気に落ちてくすんだ色になるので注意が必要です。

黒色を使った青の深み

黒を加えることで、青は一気にシックで落ち着いた色合いに変化します。
ただし、加える量やタイミングには注意が必要です。

【黒を使った青の調整例】

• ごく少量の黒を加える ⇒ ミッドナイトブルーのような深い青

• 少し多めに黒を加える ⇒ インディゴに近い暗い青

【コツ】

• 黒をいきなりたくさん加えると色が死んでしまうため、少しずつ足しながら調整しましょう。

• 代わりに『濃い青（プルシャンブルーなど）』を使うのもおすすめです。

水彩での青色表現

水彩絵の具の特徴

水彩絵の具は、その透明感と広がりの良さが最大の魅力です。
青系の色では特にその特性が活かされ、柔らかく奥行きのある表現ができます。

【水彩絵の具の特徴まとめ】

• 透明感が出る

• 水の量で色の濃淡が自由自在

• 乾いた後に重ね塗りすると微妙な色の深みが出る

• ぼかしやグラデーションが簡単に作れる

【青の表現に最適な理由】

• 空や海などの広がり感が自然に表現できる

• 重ね塗りによる奥行きの表現が得意

水で青を薄める方法

水彩において、青色を薄める方法は非常にシンプルですが、仕上がりに大きな違いをもたらします。

【基本的な薄め方】

1. パレットで絵の具を少量とる

2. 水を筆に含ませて、絵の具を溶かす

3. 必要に応じてさらに水を足して調整する

【ポイント】

• 透明感を出したい場合 ⇒ 水をたっぷり使う

• 控えめなトーンにしたい場合 ⇒ 少量の水で軽く伸ばす

【注意点】

• 一度に水を加えすぎると色がコントロールしにくくなるので、段階的に薄めましょう。

水彩で印象的な青を作る

印象的な青色を水彩で作るには、単に色を塗るだけではなく、次のような工夫が重要です。

【印象的な青の作り方】

• グラデーションを活かす（濃い青から淡い青への移行）

• 複数の青を重ねる（ウルトラマリンブルー＋セルリアンブルーなど）

• 乾く前に周囲に水をたらして、自然なにじみを作る

• 白抜きを活用して、光やきらめきを表現する

【例：印象的な青を作るテクニック】

青を調整するための色の割合

2色の混色割合とは

絵の具の混色では『割合』が非常に重要です。
特に2色を混ぜる場合、どちらを多く含むかによって色味が劇的に変わります。

【基本ルール】

• 色の強さ（彩度・明度）に影響する

• 混ぜる順番や分量によっても印象が違う

• 1:1で混ぜる場合と、9:1で混ぜる場合とではまったく別の色ができる

【例：青系でよく使う混色割合】

色A	色B	割合	出来上がる色
青	緑	8 : 2	深い青緑
青	緑	5 : 5	中間的なターコイズ
青	緑	2 : 8	緑寄りの青

青色の必要な色合い

青色を作る際に求められる『色合い』は、使用目的によって微妙に異なります。

【用途別に求められる青の特徴】

• 空や海 ⇒ 明るく澄んだ青（セルリアンブルー、コバルトブルー）

• 夜空や宇宙 ⇒ 深く暗い青（ウルトラマリン、プルシャンブルー）

• ファッションデザイン ⇒ 透明感ある青（ターコイズブルー）

【色合いを決める要素】

• 明度（明るさ）

• 彩度（鮮やかさ）

• 他の色との混色（特に補色や類似色）

割合による印象の違い

混色する割合によって、視覚的な印象が大きく変わります。
特に青を基準とした場合、少量の混色でも印象が激変します。

【割合で生じる違い】

• 青が多い ⇒ クール・落ち着き・冷たさ

• 補色（オレンジなど）が多い ⇒ 温かみ・柔らかさ

• 白が多い ⇒ 軽やか・透明感

• 黒が多い ⇒ 重厚感・高級感

【まとめ表】

特別な青色の作り方

深い青を作るための方法

『深い青』を作りたい場合は、単純に青に黒を加えるだけでは物足りないことが多いです。
より自然で深みのある青を出すには、複数のテクニックを使います。

【深い青を作るポイント】

• 少量の黒やダークブラウンを加える

• 補色（オレンジ系）をごくわずか加えると、彩度が落ちて自然な深みが出る

• ウルトラマリンブルーやプルシャンブルーといった深い青をベースにする

• 水彩では、何層にも重ね塗りして深みを出す

マゼンタを使った青の作成法

『マゼンタ』と『シアン系の青』を組み合わせることで、独特なパープリッシュブルー（紫がかった青）を作ることができます。

【マゼンタを使った青作り手順】

1. シアンをベースに用意

2. ごく少量のマゼンタを加える

3. 混ぜながら好みの紫みを調整する

【出来る色のバリエーション】

【活用例】

• ファンタジー系イラスト

• ナイトシーンの背景

• ファッションデザインにおけるアクセントカラー

グレー投入による新しい青のイメージ

『グレー』を青に加えると、落ち着きのある「スモーキーな青」が生まれます。
これにより、鮮やかな青とは違ったシックな印象を作ることができます。

【グレーを加えた青の特徴】

• 彩度が下がり、大人っぽい印象になる

• 控えめで上品なイメージ

• インテリアやビジネスデザインにも適している

【割合の目安】

• 90:10（青：グレー） ⇒ ほんのりスモーキー

• 70:30（青：グレー） ⇒ 明確に落ち着いた印象

• 50:50（青：グレー） ⇒ ほぼグレイッシュブルー

【おすすめグレー系青】

• ペールブルー

• スレートブルー

• スチールブル

青をテーマにした色の一覧

青色の多様性と印象

青は、そのバリエーションによって、まったく異なる印象を与えます。

【青色のバリエーションとイメージ】

• 明るい青（スカイブルー系）⇒ 爽やか・自由・若々しい

• 深い青（ネイビー系）⇒ 知的・落ち着き・高級感

• 緑がかった青（ターコイズ系）⇒ 神秘的・清涼感・異国情緒

• 紫がかった青（インディゴ系）⇒ 芸術的・感性豊か・クラシック

【印象まとめ表】

色の作り方：青のバリエーション

青色のバリエーションを作るには、他の色との組み合わせが非常に重要です。

【バリエーション作成方法】

• 白を混ぜる ⇒ 水色・ライトブルー

• 黒を混ぜる ⇒ ネイビーブルー・ダークブルー

• 緑を混ぜる ⇒ ターコイズ・ティール

• 紫を混ぜる ⇒ インディゴ・パープルブルー

• 赤系（マゼンタ）を混ぜる ⇒ ロイヤルブルー・バイオレット寄りの青

青に合う色のセット

青色にぴったり合う色を組み合わせることで、デザインや作品の魅力が格段にアップします。

【青に合う代表的な色セット】

• 白（清潔感・クール）

• グレー（都会的・洗練）

• 黄（コントラストで活気）

• ピンク（可愛さ・柔らかさ）

• ベージュ（ナチュラル感）

• 緑（自然・安心感）

【組み合わせ例表】

まとめ

青色を自在に操るためには、単純に『青の絵の具』を使うだけでは不十分です。今回ご紹介した内容を総合すると、以下のようなポイントが浮かび上がります。

【青色作りの重要ポイント】

• 3原色（シアン・マゼンタ・イエロー）を理解し、必要に応じて基本から青を作る

• 群青色、水色、藍色といった『青のバリエーション』を知り、使い分ける

• 混色する際は、色の割合による印象の違いを意識して調整する

• 深みのある青を作るには、補色や黒・グレーの投入が効果的

• 水彩絵の具ならではの『水分量のコントロール』が青の透明感を左右する

• 彩度や明度の調整で、求める青の表情を細かく演出できる

また、青色には次のような多彩なイメージと活用法があることも再認識できました。

『青』という色は、冷たさ・爽やかさ・落ち着き・神秘性など、場面によってまったく異なる表情を持っています。
自分が表現したい『青のイメージ』を明確にし、混色や調整のテクニックを適切に使いこなすことで、作品に深みと個性を与えることができるでしょう。

これから青色を扱う際は、今回学んだ知識と感覚を組み合わせて、あなただけの理想の青をぜひ追求してみてください！